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ペロブスカイト太陽電池の可能性と課題

ペロブスカイト太陽電池の構造

ペロブスカイト

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト構造を持つ材料を光吸収層として使用する新型の太陽電池です。
ペロブスカイトとは、自然界に存在する鉱物であるペロブスカイト(CaTiO3)に類似した結晶構造を持つ化合物の総称で、
この太陽電池では、主に有機-無機ハイブリッドペロブスカイト材料が使用されます。

ペロブスカイト太陽電池は、以下のような特徴を持っています。

ペロブスカイト太陽電池の特徴

柔軟性

1.高いエネルギー変換効率

ペロブスカイト太陽電池は、高いエネルギー変換効率を持ち、商業的に利用されているシリコン太陽電池と比較しても劣らない、
あるいはそれを超える性能を発揮する可能性があります。
研究レベルのサンプルでは20%を超える変換効率が報告されています。

2.低コスト

ペロブスカイト太陽電池は、製造過程が比較的シンプルで、低温プロセスでの製造が可能なため、生産コストを大幅に削減できる可能性があります。

3.柔軟性

軽量で柔軟性があるため、従来の硬いパネル形式だけでなく、曲面や可動部分への応用も可能です。

商業化に向けた課題

1.安全性

ペロブスカイト太陽電池の原料に、鉛を採用していることが多く、人体に対して、安全性の問題があります。
例えば、ヨウ化鉛は、発がん性や、生殖毒性、特定標的臓器・全身毒性があり、ヨウ化メチルはめまい、悪心、吐き気、視覚障害、言語障害、運動失調、精神興奮、といった症状がでる場合があります。
近年では、研究者たちは鉛を含まない、より安全な材料の開発に取り組んでいます。

2.耐久性

湿度や熱に対する耐性が低く、長期間の安定した性能を維持するための技術開発が必要とされています。
こちらについても、耐久性を高めるためのコーディング技術の改善や新しい材料の導入が研究されています。

まとめ

高いエネルギー変換効率

住宅屋根に取り付けるソーラーパネルとしては、現在普及している単結晶シリコン太陽電池と比較して、低コストで生産できる可能性や柔軟性があることで提案の幅が広がる可能性がある一方で、寿命が低く、環境や健康への懸念があるため、住宅用のソーラーパネルとして普及するまでは時間がかかると考えられます。

ただし、ペロブスカイト太陽電池は低コストで研究開発段階であることと、近い将来技術の進歩によってこれらの課題が解決され太陽光発電の分野で重要な役割を果たす可能性があります。


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